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一枚の布

一昨日、仕事の依頼が来て、昨夜から取りかかりました。
懐紙入れ6点、金曜日の夜までに仕上げる予定です。

今日は布地を選んで裁断したり、下準備をしてました。
私が扱う布は依頼人の親族の遺品だったり、今は手に入らない貴重な布だったり、代用品の無い物が大半で、扱う時もかなりの神経を使います。
そして、そんな布地を扱っているとふと考えちゃうんですよね。
この布を作った職人さんはどんな人なんだろうと…。

現在のように機械織りではなく、一つ一つ時間をかけて作られた布。
古い物が多いので、きっとその職人さんのほとんどが既にこの世にいないと思います。
どんな人が、どんな状況で、どんな事を思い抱きながらこの布を作ったんだろう。
決して逢うことのできない、その人に思いをはせて、涙が出ることがあります。
作成者はもうこの世に存在せず、その作品だけが残り、後世の私がそれを扱う…。
布に込められた思い、時の重みをひしひしと感じます。
その重圧に負けそうになることもありますが、作った職人さんやその布を気に入って使っていた方、遺された布を私に預けた方、一枚の布にかかわった全ての人達の意志を大切に仕事をしていきたいと思います。

by 公佳
by candlehouse | 2010-07-14 18:30 | 裁縫 etc.
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